毎日ドッツカードを見せてるけど、正直これ意味あるのかな・・・
高い教材を買ったのに、子どもがまったく興味を示さなくて・・・
「ドッツカード 効果ない」で検索しても、体験談ばかりで結局よくわからない
そんなお悩みはありませんか?
実は、「ドッツカードに効果があるかどうか」を考える前に、知っておきたいことがあります。
それがドッツカードの周辺で語られている使い方には、研究で詳しく確認されているものと、そうでないものが混ざっているということです。
小・中学校に10年以上勤めた経験があり、
理学部数学系大学院修了、現数学教員である夫の視点も取り入れながら
算数教育の研究をもとに、ドッツカードの周辺で語られている情報を一つずつ整理しました。また、家庭で今日からすぐに使える無料の体験アプリもご用意しました。
- 毎日ドッツカードを使っているけど、本当に効果があるのか不安な方
- 高額な教材を検討する前に、家庭でできる方法を知りたい方
- 「サビタイジング」「グルーピング」って何?と気になっている方
読み終わるころには、「うちはこの視点で使ってみよう」と、周りの口コミに振り回されず、ご自身で判断できるようになっているはずです。
ドッツカード「効果ない」と感じたら、まず知ってほしいこと
毎日ドッツカードを見せているけれど、本当に意味があるのかな?
高い教材を買ったのに、子どもがまったく興味を示さない・・・
そんなふうに感じて、「ドッツカード 効果ない」と検索された方も多いのではないでしょうか。
実際に検索してみると、体験談や教材の説明がほとんどのようでした。
読んでみると、
「うちの子には合わなかった」
「続けたら数に強くなった」
という声も。
どちらが本当なのか、判断する材料がないまま迷ってしまいますよね。
そこで、疑問に思うこと
「いったい、どんな使い方やどんな点で効果があるのだろうか?」
疑問を解決するために、周辺の研究調査を行ってみました。
ドッツカードの周辺は「効果がある・ない」で単純に分けられるわけではありません。
「ドッツカード」の周辺には、
詳しく研究されつつある部分とそうでない部分が混ざっている
ようです。視点によっては、研究で確認できている部分が大きく異なります。
| 視点 | サビタイジング | グルーピング | 大量のドット 高速フラッシュ |
|---|---|---|---|
| 研究状況 | あり | あり | 独立した検証 確認できず |
| 家庭での 利用方法 |
研究による測定方法 とほぼ同じ |
研究知見 での応用 |
提唱者の 指定した手順 |
この3つ視点が「ドッツカード」の周辺で語られているために、
「効果がある」という人と「効果がない」という人がどちらも自分の経験を根拠に語る
ことになってしまうのです。
この記事では、この3つを一つずつ切り分けて整理していきます。
読み終わるころには、
「我が家はこの視点で使ってみよう」と、ご自身で判断できる状態
になっているはずです。
読み始める前に、大事なお約束
一つだけ、最初にお断りしておきたいことがあります。
この記事で紹介する研究は、「人が数をどう見ているか」を調べたものです。
「ドッツカードを使った家庭学習で算数の力が伸びるか」を検証したものではありません。
つまり、
- 研究でわかっていること(数の見え方についての知見)
- 私が家庭向けに提案していること(その知見を参考にした遊び方)
- その遊びで能力が伸びるかどうか(これは検証されていません)
この3つは別の話ですので、ご理解ください!
ドッツカードで使われる「数の見方」を3つに分けてみよう!
さっそく、3つに分けて見ていきましょう!
1〜4個程度を素早く把握する「サビタイジング」
数の見え方として、くわしく研究されている範囲です。
サイコロを振ったとき、3の目は、「1、2、3」と数えなくても
「3だ」とわかりますよね。
少ない個数の集まりを、数え上げずに速く正確に把握できる現象を、認知科学の分野ではサビタイジングと呼びます。
この現象については、1940年代から研究が積み重ねられてきています。
多くの研究でくり返し確認されていることは、次の2つの傾向です。
- 1〜4個程度がサビタイジングの範囲として扱われており、
この範囲では速く正確に答えられる - 個数が増えていくと、一般に反応時間が長くなり、誤りも増えていく
大切なポイントが2つあります。
「4個まではサビタイジング、5個からは別のもの」というように、
きっぱり切り替わるわけではないということ。
個数が増えるにつれて、数え上げなどの影響が少しずつ大きくなっていく、
というイメージのほうが実際に近い感じです。
研究がくわしく扱っているのは「1〜4個程度の少ない範囲」だということ。
ドッツカードをこの範囲で使うのであれば、研究でよく調べられている数の見方を、お子さんが体験する機会になるでしょう。
小さなまとまりに分けて見せるグルーピタイジング(groupitizing)
たとえば、
- 10個の点が ”バラバラ” に散らばっているカード
- 10個の点が ”「3個・3個・4個」のまとまり” に分かれて見えるカード
があったとします。
同じ10個なのに、後者のほうがずっと数えやすく感じませんか。
この現象は2010年代から研究されているようで、2020年前後にAnobileらによって、その仕組みの検討が進みました。
この記事では、
点をいくつかの小さなまとまりに分けて見せたときに、全体の個数を把握しやすくなる現象を、研究上の呼び名にならってグルーピタイジング(groupitizing)と呼ぶことにします。
日常でいう「グループ分け」全般とは区別してお読みください。
このグルーピタイジングについて、報告されているのは、次のようなことです。
- 大人では、点が小さなまとまりに分かれていると、バラバラの場合より数を推定する精度が高くなる。Anobileらの研究では、条件によって約20%の差が確認されている。
- 少数を把握するサビタイジングの仕組みが利用され、さらに簡単な計算のような処理が加わっているのではないか、と考えられている
つまり、「3・3・4」という小さなまとまりを手がかりに、全体の10個を把握するような見方。
ただし、研究では、このときサビタイジングによって小さなまとまりを把握し、それらを組み合わせる計算的な処理が関わっている可能性が提案されています。このグルーピタイジングの利点は、どの年齢でも同じように現れるわけではないと報告されています。
学齢期の子どもでは、算数の力が高い子どもほど、数を「まとまり」として捉えることによる利点が大きいことが示されています。また、年齢とともに大きくなる傾向が示されています。
つまり、ある程度の計算の知識が身についてから現れやすいと考えられているのです。
就学前の子どもについては、この利点がはっきりとは確認されていません。
また、研究で使われる「まとまり」の手がかりは、線で囲むことだけではありません。
Anobileらの研究では色の違いや空間的な近さが使われ、空間的に並べた場合だけでなく、時間をずらして順番に見せた場合でも同様の効果が確認されています。
「線で囲めばgroupitizingになる」というものではないという点は押さえておいてください。
点カードを作るとき、線や薄い丸などを使って「まとまり」が見えるようにしてみると、研究で扱われているような「まとまりを利用した数の見方」を家庭でも体験しやすくなるかもしれません。
わが家でも、10個の点を線で区切ったカードを使ってきました。
「まとまりを作ることで数を把握しやすくなる」という研究知見と重なる部分があることがわかります。
ただし、これはあくまで研究でわかっていることを参考にした、家庭向けの工夫です。「線や丸で囲んだカードを使えばこの能力が伸びる」ということが研究で確かめられているわけではありません。
なお、関連して興味深い報告もあります。Maldonado Moscosoらの研究では、計算のスキルが、
まとまりに分けて見せたときの推定の正確さとは関連していた一方で、バラバラに見せたときとは関連していなかったとされています。
これは関連が見られたという報告であって、「まとまりで見る経験を積めば計算が得意になる」という因果関係を示すものではありません。
まだ独立した検証を確認できない!?「大量ドット高速フラッシュ」
提唱者側の方法では、0個から100個までの数量を表す大量の点のカードを用意し、1枚を短い時間だけ見せて次々にめくっていきます。
これを続けることで、子どもは数を直感的に把握できるようになり、計算能力が伸びる——という説明がなされています。(根拠となるリンクを貼り付ける)
今回調査した中では、教育効果を検証した研究を見つけることはできませんでした。
これは「効果がない」と証明されている、という意味ではありません。
3つの使い方の整理
ここまでを整理すると、次のようになります。
| 使い方 | これまで調査した研究で確認されていること |
|---|---|
| 1〜4個程度を短時間見せる | 少ない個数を速く正確に把握する 「サビタイジング」という現象が、くわしく研究されている |
| 小さなまとまりに分けて見せる | ①まとまりに分かれていると、数の推定が正確になることが大人で報告されている。 ②学齢期の子どもでは算数の力との関連が報告されているが、就学前児でははっきり確認されていない |
| 0〜100個の大量の点を次々にめくる | 今回確認した文献の範囲では、この方法そのものの教育効果を独立に検証した研究は見つけられなかった |
*この表は「どの使い方が効果的か」のランキングではありません。
*上の2つについても、研究が調べているのは「数がどう見えるか」という現象であって、「その使い方をすれば算数の力が伸びる」ということが確かめられているわけではない、という点にご注意ください。
家庭でできる、研究を参考にしたドッツカードの使い方
研究でわかっている「数の見方」を、
家庭でも気軽に体験できる遊びとして紹介!
研究知見を参考にした私の提案であって、「この遊びをすれば算数ができるようになる」とお約束するものではありません。
小さいお子さんの場合は「効果を狙う」というより、
親子で数に触れる時間を楽しむものと考えていただく
ほうがちょうどいいと思います!
特別な教材を買わなくても今日から始められるものばかりですので、
遊びの一つとして取り入れてみてください。
1〜4個をパッと見せる遊び方
サビタイジングを体験する遊びは、とてもシンプルです。
- おはじきやブロックを1〜4個、手のひらに乗せます
- 数秒だけ見せて、さっと隠します
- 「いくつだった?」と聞きます
慣れてきたら、見せる時間を少しずつ短くして、
「見た瞬間にわかる」ことを楽しんでみましょう。
答えを聞いたら、実際に数えて確かめてみましょう。
「3だったね!」と確認することで、見えた数量と、数えた結果を結びつけることができます。
- サイコロ:振って出た目を、数えずに言う
- ドミノのこま:目の数をパッと言う遊び
- おやつ:「今日はいくつ?」とお皿の上のクッキーを見せる
- 指:親が指を立てて「いくつ?」と聞く
この遊びでは、数え上げることよりも、
見た瞬間に個数を把握する経験
を大切にします。
数え上げとは少し違う数の見方を体験する活動、というイメージです。
もしお子さんが数え始めたら、無理に止める必要はありません。
慣れてきたら、「今度は数えないで、パッと見てわかるかな?」と遊び方を変えてみてもよいでしょう。
最初は間違えても大丈夫です。
10個を線や薄丸でグループ化する点カードの作り方
次に、まとまりを利用した数の見方を体験できる点カードの作り方です。
- 厚紙、または画用紙などで作ったカード
- 丸シール(またはペン)
- 薄い色のペン(線を引く用)
- カード1枚につき、点を6〜10個描きます
- 点をいくつかのまとまりに分けて配置します
- まとまりの区切りが見えるように、薄い線を引くか、薄い丸で囲みます
点が 8 個なら「 4 個と 4 個」、または「 3 個と 3 個と 2 個」。
9 個なら「 3 個と 3 個と 3 個」のように!
家庭で試しやすいように、1つのまとまりを1〜4個程度にしています。
これは研究で決められたルールではなく、サビタイジングが研究されている少ない個数を参考にした、この記事独自の設計です。
お子さんの様子を見ながら、まとまりの大きさは自由に変えてみてください。
- 作ったカードを数秒見せて、「全部でいくつ?」と聞く。
- 答えたあとに「3と3と2」で「8」だねと、指差ししながら具体的に確認する。
「分けて見るとつかみやすい」という感覚を一緒に楽しめます。
慣れてきたら、同じ個数でもバラバラに配置したカードを作って見比べてみてください。
「まとまっているほうが答えやすい」かどうかを、お子さん自身が体験できます。
「まとまりで見る」を体験できる無料アプリ
カードを何枚も手作りするのは大変ですよね。
そこで、ご家庭ですぐに試せるように、グルーピング認識ゲームを作りました。
ブラウザで開くだけで遊べます。
このアプリは、グルーピタイジング研究で報告されている
「点をまとまりとして見ると、数を把握しやすくなる」
という知見を参考に、家庭向けのゲームとして作ったもの
研究の実験そのものを再現したものではありません。
- 作ったカードを数秒見せて、「全部でいくつ?」と聞く。
- 答えたあとに「3と3と2」で「8」だねと、指差ししながら具体的に確認する。
アプリでできる機能はこちら!
「グループ配置」と「ランダム配置」を切り替えられます。
同じ個数でも、まとまって見えるときとバラバラのときで、どれだけ感じ方が違うかを体験できます!
表示時間を3段階(2秒/1秒/0.5秒)で選べます。
これは家庭で比較しやすいように私が設定した時間で、研究で推奨されている時間ではありません。お子さんの様子を見ながら選んでください。
正解したあとに「3 と 3 と 2 で 8 だね」と分け方が表示されます。
どう見るとつかみやすいのかが、目で見てわかります
配置ごとの正答数が別々に記録されます。
お子さん自身が、どちらの配置のほうが答えやすかったのかを数字で比べられます。
なお、あくまでお子さんの体験を振り返るためのものです。
回数も条件も限られているので、これで何かを測っているわけではありません。
「こっちのほうがわかりやすかったね」と話すきっかけとして使ってみてください。
まずは「グループ配置」から始めて、
慣れてきたら「ランダム配置」も試してみてください。
同じ個数なのに感じ方が違うということに、
お子さんが気づけたら大成功です。
「まとまりで見る」と、その先の算数にはどんなつながりがある?
「そもそも、なぜこうした見方を体験させるといいの?」と思われたかもしれません。
最後に、この2つの数の見方が、学校の算数とどうつながっていくのかをお話しします。
当ブログで考える「数のまとまり」と学校算数のつながり
算数の力は、学校の単元の順番どおりに育つとは限りません。
「数がどう見えるようになるか」を、学校算数とのつながりから整理すると、次のような流れがイメージしやすいです。
- 1〜4個程度が素早くわかる(サビタイジング)
- まとまりに分けて数を見る(groupitizing)
- 10個を「1つの10」として扱う(10のまとまり)
- 位取りがわかる(23は10が2つと1が3つ)
- 繰り上がりができる(8+7を10+5と考える)
- 筆算ができる
*これは研究で確立された発達段階を示すものではありません。
この記事で扱ってきた「数をまとまりとして見る」という視点を、学校算数とのつながりで整理した、当ブログなりのイメージです。
実際には、子どもによって順番も進み方も違いますし、これらは重なり合いながら育っていくことが予測されます。
「この順番どおりに進めないといけない」というものではまったくありません。
家庭で「今どのあたりを楽しんでいるかな」と考えるときの、地図のようなものだと思っていただければ十分です。
「まとまりで見る」経験が生きる場面
たとえば、小学校で多くの子が立ち止まる「繰り上がり」を考えてみましょう。
8+7を計算するとき、「8にあと2を足せば10になる。7を2と5に分ける。10と5で15」と考えます。
このとき使っているのは、数をまとまりとして見て、分けたり合わせたりする考え方です。
グルーピタイジングの研究でも、
まとまりを利用した数の把握には、簡単な計算のような処理が関わっているのではないか
と考えられています。だからこそ、
数をまとまりとして見る経験は、のちに数を分解・合成して考えるときにも活かせる
——これが私の考えです。
研究では、まとまりで考える利点のほうが計算の知識に支えられている可能性が指摘されています。「まとまりで見る遊びをすれば繰り上がりが得意になる」という因果関係が示されているわけではありません。
計算の答えを覚えることも大切ですが、それと合わせて「数をどう分けて見るか」に目を向けてみると、算数の景色が少し変わってくるかもしれません。
だから「使い方」が大切になる
ドッツカードは、1〜4個程度を短時間見せる使い方、まとまりが見える形で見せる使い方であれば、研究でよく調べられている数の見方を、お子さんが体験する機会になります。
一方で、大量の点を次々にめくる使い方については、今回確認した範囲では独立した効果検証を見つけられませんでした。
「効果があるか、ないか」ではなく、「どの使い方に、どれくらいの裏づけがあるか」。この視点をもっておくと、これから知育教材を選ぶときにも、宣伝や口コミに振り回されずに判断できるようになるでしょう。
あわせて読みたい
まとめ|ドッツカードは「何を目的に、どう使うか」が大切
最後に、この記事の内容を整理しておきます。
- サビタイジングは1〜4個程度の数を素早く把握する現象として研究されている
- まとまりを利用した数の把握についても研究が進んでいる
- ただし、これらの研究はドッツカードの家庭学習の効果を直接証明したものではない
- 大量のドットを高速で提示する方法については、今回確認した文献では独立した教育効果の検証を確認できなかった
- 家庭では、研究で分かっている「数の見方」を参考に、遊びとして取り入れてみることができる
- おはじきやサイコロで「1〜4個をパッと見て答える」遊びをしてみる
- 点カードを作るときは、いくつかのまとまりに分けて、薄い線や丸で区切ってみる
- グルーピング認識ゲームで、まとまりの見え方を体験してみる
「ドッツカード 効果ない」と感じていた方も、ドッツカードを使うかどうかも含めて、「何を目的に、どう使うか」を考えてみてください。
そして何より大切なのは、お子さんが楽しんでいるかどうか。
嫌がっている場合は無理に続けず、遊びとして楽しめる範囲で取り入れてみましょう。
参考文献
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- Anobile, G., Castaldi, E., Maldonado Moscoso, P. A., Burr, D. C., & Arrighi, R. (2020). “Groupitizing”: A strategy for numerosity estimation. Scientific Reports, 10, 13436. https://doi.org/10.1038/s41598-020-68111-1
- Maldonado Moscoso, P. A., Castaldi, E., Burr, D. C., Arrighi, R., & Anobile, G. (2020). Grouping strategies in number estimation extend the subitizing range. Scientific Reports, 10, 14979. https://doi.org/10.1038/s41598-020-71871-5
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