「虫が嫌い」「虫がこわい」「外で遊びたくない」──
そんなふうに困ってしまう場面、ありませんか?
うちの子も、「虫きらーい!」と逃げてしまうことがあります。
それでも、できれば自然や虫とふれあってほしいな、と思うことも多いですよね。
そんなときにおすすめなのが、
「お外(自然のそば)でチョークを使って絵を描くこと」
です。
コンクリートの地面(もちろん可能な場所です)でも、木陰の石の上でも。
絵を描くことで、自然と遊びながら、気づけば虫たちとも遭遇。
ちょっと怖がっていた虫も、描いた絵の線をたどって動いていたりして──
そんなふうに、自然や虫とふれあう小さな入り口になります。
さらに、「絵を描くこと」は最近注目されている「非認知能力」の育ちにもつながるとされています。
パパやママとの会話も自然と弾んで、自己肯定感を育むきっかけにもなるんです。
この記事では、教育現場に関わってきた私たちが、実際に子どもと一緒に取り組んだ「お外でおえかきプロジェクト」を紹介します。
どんなふうに広がっていくのか、親子のやりとりを通して、楽しくお伝えできたらと思います。
ぜひ、みなさんの子育てのヒントになればうれしいです。
チョークで絵を描くことのメリット
質の高い製作活動が大切
小林俊介氏による「子どもの製作活動における発話と非認知的能力の活性化」には以下のように書かれてあります。
質の高い製作活動を促すことが,子どもの発話や非認知的能力の発達にとって有効である
粘土や段ボールなどを使って物を作るなどの製作活動の質を高めることが子どもの成長に良い影響を与えてえくれそうです。
この質の高い製作活動とは何か、具体的に書かれてはありませんでした。しかし、中身を読み進めていると、研究していた内容から「質の高い製作活動」のヒントがあります。
質の高い製作活動は,見立てや工夫,試行錯誤といった創造的行為を内包するとともに,発話や非認知的能力の発達につながる行為を促している。
この文章を読むと、”見立てや工夫、試行錯誤といった創造行為”が質の高い製作活動に含まれていると受け取れるのではないでしょうか?紹介されていた実践事例でも、4人で粘土を使ってドラゴンを製作していく際に、子どもの発言などが具体的なイメージを与え始め、役割分担や割り箸を用いて骨組みを作るなど応用の効いた製作活動ができたようです。役割分担はどのように作っていくかの見立てが必要ですし、割り箸を用いた工夫もあり、うまくドラゴンを作れるよう試行錯誤をされてたようです。
この事例からもわかるように、質の高い製作活動が子どもの成長を支えていくことになりそうですね。
外でチョークを使って描くことも質の高い製作活動できる?
私は「外でチョークを使って描くこと」が質の高い製作活動につながると考えています。
「見立て」という点で、チョークで絵を描く時に、自分の頭の中を、実際に描くときに”どう描けばイメージ通りになるのか”を考えて、”どこにどのように描く必要があるのか”を考えると思います。その過程こそが「見立て」であると考えます。
「工夫」という点で、チョークにも色のバリエーションがあります。描きたいものをパーツによって色分けしたり、感情を色と合わせたりと様々な工夫が起きやすそうです。チョークにも工夫できる部分があると思います。
「試行錯誤」という点で、チョークで描いたものが上手くいかなかったとき、再度別の場所で描くことに挑戦したり、形があうまくできなかったから色を変えて再度書き直したりなどと、自分たちの操作を試行錯誤できそうです。
まとめると、「外でチョークを使って描くこと」は書かれてある3つの視点「見立て」「工夫」「試行錯誤」などの創造的行為があり、質の高い製作活動に該当するのではと思いませんか?
実践「チョークで外遊び」
実際にチョークで遊んだ時の子どもちゃんとの会話を録音しました。その一部をまとめてみましたので、どんな対話やどんな発見があったか参考にしていただけると幸いです。
チョークお絵描きスタート

チョークでお外で遊ぶ?

チョークで遊ぶ!

今日は何を描きますか?

プリキュアかく!
ツルツルしたところで描く!
パパ好きなの書いて、ニコ様の卵

ニコ様の卵を描くの?

子どもちゃんはニコ様の卵、これなぁんだ?

モフルン!

ブッブー!

これなぁんだ?
子どもちゃん視点からはこんな感じです。


ユキ!(プリキュアのキャラクター)

ブッブー

ピカチュウ!

こっちから見てみたら?

お化け?

(指示語が伝わりづらかったなと思い)
パパの方から見て、どうだ?

ゾウさん!

ピンポーン!正解!

じゃあ、これなんだ?
パパこれ絶対わかる!
(ぜひ、次の画像を見て何を描いたか予想してみてください。私は一瞬かなり悩みました 笑)


さつまいも!

ピンポーンピンポーン!

これ何やったん?


コーラ

・・・・・
コアラね!?

うん!

これ上手だね!
すると、子どもちゃんがパパの書いたゾウさんに書き加えていきます。

ここに、四角、今なんかゾウさんが運んでいる。
水運んでる。

ゾウさんは鼻で水運べるんじゃなかったっけ?

うん。
今ここに、長靴を履いて、泥にチャッポンする。

虫との出会い
チョークのお絵描きをしていく中で、虫さんたちが自然と混じってきました。いつもは「虫嫌い」と逃げるところ、その虫の行動が気になったのか、逃げずに様子を見たり、虫について話したりしていました。虫との出会いの始まりです。

これと合わせたら何になる?


何になる?

なんの色だろ?
灰色!


うわイモムシや!
逃げる?
イモムシ嫌い?

嫌い、これ(チョークの跡)消すかな?

大丈夫じゃない?
避けてる!
粉に沿って避けてるね、ありさんも避けてる。

あっ、入った。チョーク。

大丈夫ってわかったのかな?

ナメクジみたい!
知らないうちに、アリさんやイモムシがやってきて、それを見て観察をしていました。他のナメクジなども会話の中に現れてきましたね。
まとめ
外でチョークを使ってお絵描きすることは、子どもが頭の中で思い描いたものを自由に形にし、その絵に長靴を履かせたり、水を運ぶバケツを描き加えたりしながら、物語をふくらませていく体験になります。
また、チョークの色を混ぜて「色が変わるかな?」と試してみたり、描いているそばに寄ってくるアリや芋虫に気づいたりする中で、自然や生き物とのふれあいも自然に生まれていきました。
こうした遊びは、子どもの想像力や創造性を育む「質の高い製作活動」にもつながるものであり、非認知能力の成長にもよい影響を与えてくれるように感じています。そしてなにより、家族みんなでゆったりと過ごす、かけがえのない時間になりました。
これからも、こんな時間や経験を大切にしながら、私たちなりの育児を楽しんでいけたらと思います。
わからないことも多い毎日ですが、悩みながら、笑いながら、子どもと一緒に幸せな時間を少しずつ増やしていけたらいいですね。
このブログを読んでくださったみなさんにも、そんな素敵な時間がたくさん訪れますように。
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